MISSION×TARGET

みっそん×た〜げっと

ミッション×衝撃の始業式を体験せよ!

波乱の始業式典が終わった。
僕だけに限らず帝王院学園全体にとっての激動二時間、なんてタイトルどうですか?


「東條君、進行状況はどう?」
「ああ、スケジュール通りだ。開会挨拶後、舞台裏から上がる」
「何だか気が重いな、王呀の君が挨拶するだけなのに…。人目に付くのって緊張するよ」
「確かに、生徒数は多い」

高等部自治会の挨拶で僭越ながら壇上に立った僕は、と言えば。


一心不乱に山田君を目で探したり、
たまに王呀の君(影薄い自治会長)への黄色い声に耳を塞いだり、
山田君を見付けて密かに拳を固めたり、
山田君の近くにカルマの幹部である錦織君ともっさもさの何かを見付けて震えたり、
東條君に『寒気がするのか?』と心配されたりしながら王呀の君の(一方的な)挨拶を終えて席に戻ったりした。


これだけでも十分けしからんじゃまいか!
山田君、何時の間に不良を手懐けたんだ君は!ああっ、僕を惑わすいけない平凡攻めめ!


いやいや、アンタら頭大丈夫ですか?
と言うコスプレ染みた正装で登場した中央委員会にも、勿論凄まじく萌えたのだけど。

相変わらず俺様受けな光王子副会長にもそれなりにハァハァしたし、あんなに偉そうな紅蓮の君が実はあがり症だと言う破廉恥なギャップも知ったし。
久し振りに見る中央委員会長(シャイなのか仮面で顔を隠してる憎いアンチキショウ)に帝王院中の感嘆の息が合唱を奏でたり、外部生が中央委員会に匹敵する公安委員会である左席委員会長に抜擢されて講堂が震撼したり、


その外部生と仲良くなっていたらしい僕の山田君が、中央委員会相手に勇ましく叫びながら左席委員副会長に立候補したり。
つまり中央委員会と敵対したり、皆に睨まれたり、睨み付けたりたりたりけしからぁあああんんん!!!ハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァ…はっ!
いけないいけない、我を忘れたよ。

僕の鼻血が止まらなくなって周りが慌て出したり、萌え過ぎて寝ていた王呀の君をバシバシ叩いてみたりそれはもう忙しかったよ。
ポーカーフェイス保つのが大変だったよ。


「あ?…何だぁ、この盛り上がり」

叩いたからか起きた王呀の君が、寝呆け混じりに相棒である東條君を探してたけど、気づいたら彼は居なかった。

「イーストはともかく、真面目な面で鼻血出してるお前は大丈夫か?」
「勿論です王呀の君。問題ありませんよ」
「そうかよ」

いけないね、うっかりしてたよ。いつの間に居なくなってたんだろ、東條君。彼は不思議だね、不思議受けさんだね。
不良達を引き連れ颯爽と去っていく山田君の凛々しい背中を見送るので必死過ぎて、王呀の君に袖を引っ張られても気付かなかった僕。
いい加減腐り果ててるよね、うん、知ってるよ。僕はもう山田君無しには萌えないのかも知れない。

「で、この騒ぎは何だよ」

ああ、でも山田君をオカズにボッキーニしたりはしないよ。腐っても正常な男子だからね僕。ちゃんと女の子相手にボッキーニするからね。
腐男子はゲイじゃないんだ。

「ああ、山田君が左席副会長になったんです」
「あ?誰だ山田って」
「初代外部生です」
「ふぅん」

ふぅん、って何なんだその気のない相鎚は!ふっ、そうしていられるのも今だけさ!何を隠そうこの僕もそんな時期があったからね!
あの時は俺様受け全盛期だったんだよ。

「因みに外部生が左席会長に」
「そっちのが衝撃的じゃねぇか」
「そうですね」

確かに左席と言えば中央委員会の敵、中央委員会の末端にある僕ら自治会にとっても目の上のタンコブだよね。
ああ、山田君と敵対するなんて…。山田君が僕を睨んだりするのかな!

どうしよう!
見つめられたら目を逸らさず寧ろ凝視しちゃうよ!同人誌書いちゃうよ!いや、もう同人活動はやってないんだけど。
今はROM専だから。

「ん?王呀の君、この手は何ですか?」
「お前今夜俺の部屋に来いよ」
「は?」
「構って欲しいんだろ?」

ニヤニヤ笑う王呀の君を冷めた目で見つめれば、親衛隊達に囲まれた彼はもう僕を見てなかった。

「いやぁ、王呀の君ぃ。僕も構って下さぁい」
「やぁん、僕もぉ」
「ふ、仕方ねぇな」

はぁ、馬鹿な会長め。僕と会長なら腐男子攻めと遊び人受けじゃないか。
全く萌えない。西指宿会長、貴方は無口溺愛攻めの包容力にコロっと落ちる運命でしょ。そこの所まだ判ってないんだね。はぁ、けしからん。全くけしからん。

「絶望した」
「え?」
「何でもないよ」

とりあえず閉幕した始業式。
真っ直ぐ自治会室に向かい、仕事の片付けをしてから昼食を取って、教室に向かった。

「あれ」

途中で外部生が不良と喧嘩してるのを見てしまった僕が、やっぱり彼は変装系なんだなとひとしきり頷いて、もっさり眼鏡の下の余りに凛々し過ぎる顔を見やり、



「!」

受けにも攻めにも分類出来ない事実にひっそり感電していた事は、多分誰も気付いてないよね
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©Shiki Fujimiya 2009 / JUNKPOT DRIVE Ink.